マンションでの漏水 → カビ被害を防ぐ完全ガイド

問題提起
マンションで知らない間に壁紙に黒ずみ・カビが発生していたという話は決して珍しくありません。多くの場合、その原因は見えにくい“漏水”にあります。放置すると健康被害や建物劣化にもつながるため、早めの対応が不可欠です。

記事を読んで分かること
本記事では、マンションで起きる漏水がどのようにカビを引き起こすかを丁寧に解説し、壁紙・素材別の除菌・消毒法、管理組合・入居者の責任区分から保険活用法までを網羅してお伝えします。

読むメリット
これを読むことで、漏水リスクを早期発見でき、実際に被害を受けた際にも適切な対処と業者選びができるようになり、トラブルや費用を最小限に抑える指針が手に入ります。

1. マンションで漏水が起きる主な原因

マンション住戸で「知らぬ間に水漏れしていた」「壁が湿っている感じがする」といった報告は、実際少なくありません。特に共用部と専有部の境界線が曖昧なケースでは、責任所在が不明瞭になりトラブルになりやすいのも事実です。本章では、まずその「なぜ漏水が起こるか」の根本原因を整理します。

1-1. 給排水管の老朽化・破損

給水管・給湯管・排水管は、建築時から使用され続ける基盤設備ですが、年月とともに劣化が進みます。特に鉄管・鋼管を用いた配管は、内側から腐食しやすく、水が漏れ出るという事態になり得ます。また、継手部分(ジョイント、フランジ、パッキン部など)が劣化してシール性を失い、水がじわじわ滲み出るケースもあります。

配管破損の事例としては、以下のようなものが挙げられます:

  • 凍結+解凍による管のひび割れ

  • 地震や揺れによる応力で継手部分がずれた・緩んだ

  • 内部錆・スケール堆積による管断面の細化 → 薄くなった部分が穴になる

  • 配管ルートの固定不良や振動による疲労割れ

また、排水管も同様に詰まり→逆流→管内圧力上昇→破損、という悪循環を起こすことがあります。特に集合住宅では、上階からの排水量が集中したり、複数住戸の水使用タイミングが重なったりするため、負荷がかかりやすいです。

重要なのは、この給排水管の劣化を早期に検知することです。定期点検で配管の内視調査や赤外線検査、水圧試験などを行うことで、予兆を発見できる可能性があります。

1-2. 雨漏り・外壁・シーリング不良

屋上・屋根・外壁といった外装部分も漏水の大きな原因となります。マンションの高層化が進むに連れて、外壁・屋根・窓サッシ・バルコニー周辺などの取り合い部(接合部)が増え、その継ぎ目=シーリング(コーキング)部分が最も劣化しやすい箇所です。

シーリングの割れ・剥離・硬化は、外壁に降った雨がそこを通って内部に浸入する「雨漏り」を引き起こします。雨漏りが壁体内部に入り込むと、内装材や下地材・断熱材を濡らし、長期的には建物構造まで影響を与える可能性があります。

窓まわり(サッシと壁のつなぎ目)やベランダの立ち上がり水切り、防水層の端部処理などが典型的な弱点です。また、外壁タイルの浮き・破損・目地目荒れ・クラック(ひび割れ)が発生していれば、そこから雨水が奥へ侵入することもあります。

外装の劣化は目に見えることも多いため、定期的な目視点検だけでなく、高所足場点検・タイル浮き検査などを取り入れておくと安心です。

1-3. ベランダ・防水層の劣化・排水不良

ベランダ(バルコニー)は屋外に露出しているため、防水層(ウレタン防水、シート防水、FRP防水など)が用いられています。しかし防水層は紫外線、風雨、温度変化などで徐々に劣化します。その結果、ひび割れ・表面層剥離・防水層の薄化が起きて、そこから雨水が侵入する経路ができます。

さらに、ベランダ排水口(ドレン)が落ち葉・ゴミ・泥で詰まり、水が滞留するケースも多く見られます。滞留した水が防水層の劣化部に浸透し、室内側へ染み出すことがあります。特に連棟マンションでは、上階ベランダからの漏水が下階天井・壁へと被害を引き起こす典型的なルートです。

また、ベランダ上部への屋根・庇・バルコニー手摺など構造的な取り合い部の隙間から水が回り込むケースもあり、そこから内側へ漏れてくることがあります。こういった取り合い部の防水処理が正しくなされていないと、長い時間をかけてじわじわ被害が進行することがあります。

2. 漏水が引き起こすカビ被害とそのメカニズム

漏水が原因で内部材が湿潤状態になると、カビは一気に繁殖し始めます。カビ被害は見た目の汚染だけでなく、健康リスクや建材劣化を引き起こすため、「なぜ漏水 → カビ被害につながるのか」を理解しておくことが重要です。

2-1. 湿度・温度条件がカビ繁殖を促進する理由

カビ(真菌)は、水分と適切な温度を伴う環境で最も活発に繁殖します。一般的に、室内湿度が60%以上、温度が20~30℃程度にあるとカビの発育に適した状態となります。漏水により壁体・下地・断熱材が濡れると、その局所的な湿度が急激に上昇し、さらに空気がこもる場所だと乾きにくいため、さらに環境が悪化します。

また、夜間に温度が下がって露点近くになると結露が発生しやすく、壁面や天井に細かな水滴が付着することがあります。その水滴がカビ胞子の発芽を促すきっかけになります。さらに、湿潤環境を維持できる場所は、カビ菌糸が奥へ奥へと進入しやすくなります。

これらの条件が重なることで、漏水部近傍は「カビが生えるのに理想的な環境」と化してしまうのです。

2-2. 建材や壁紙がカビの栄養源になる過程

カビは栄養源として「セルロース」「デンプン」「たんぱく質」「糊材」「ほこり・汚れ」などを利用します。マンションの壁紙やクロス、石膏ボード、木材、断熱材、石膏プラスターなどはこれらを含んでおり、カビにとって「住処かつエサ」となります。

具体的には次のような流れでカビが発生・進展します:

  1. 漏水や結露などによって、壁紙・下地が水分を含む

  2. 水分が建材内部に浸透・残留する

  3. カビ胞子(空気中に浮遊している微細な菌)が付着

  4. 湿度・温度・栄養が揃った環境で胞子が発芽

  5. 菌糸が下地や壁紙の隙間に侵入

  6. 表面から見える状態まで増殖(斑点・黒ずみ・白くふわふわなど)

  7. 根が深く入り込むと、外からの拭き取りだけでは除去不可能になる

このように、漏水を放置することは、建材をカビの温床にしてしまうリスクを孕んでいます。

3. 壁紙・クロスのカビ発生条件と素材別の注意点

壁紙(クロス)やその裏地、貼り付け糊、下地材の性質によって、カビ発生のしやすさや除去難易度は大きく異なります。本章では、素材別・構造別観点から、注意点と対処法を整理します。

3-1. ビニールクロス vs 紙クロス / 布クロスの扱い

壁紙にはさまざまな種類がありますが、特にカビ被害を受けやすい構造・素材があります。

  • ビニールクロス
     表面がビニール(塩化ビニル樹脂)で覆われているため、表面は水を弾く性質があります。ただし、継ぎ目や裏面(下地との接着面)には糊や紙層があり、ここに水が入り込むと内部でカビが発生することがあります。表面がツルツルなので、比較的カビを拭き取りやすい反面、裏面に回ると厄介です。

  • 紙クロス / 和紙調クロス
     紙を主材として作られているため、吸水性が高いという特性があります。水分を含みやすく、カビの繁殖が非常に起こりやすいです。しかも、表面の黒ずみが下地材と一体化してしまうことがあり、除去が困難になることがあります。

  • 布クロス / 布系クロス
     織り目や凹凸があるため、糸の隙間に水分やほこりが残りやすく、カビが入り込みやすい性質があります。特に湿度が高い場所で使われていると、湿気を吸って内部に水分をため込みやすくなります。

いずれの素材でも、表面だけでなく裏面・糊材・下地まで湿潤するケースを考慮する必要があります。

3-2. 石膏ボード・下地材への浸透・裏面発生

壁紙・クロスの下には通常「石膏ボード」や「合板・木下地」などが使われています。これらの下地材は、吸水性や内部保水性があるため、漏水して水が染みると内部まで水分が浸透します。

石膏ボードはセメント系と紙フィルムで構成されており、紙フィルム部分が湿気を含むとその裏面でカビが発生しやすくなります。特に、壁紙を剥がさないとその裏側のカビは見えないため、表面には何も見えなくても、剥がすと真っ黒、というケースもあります。

また、下地材(合板・木材・ベニヤ等)も吸水して膨張・収縮を繰り返すと、素材劣化や変形を引き起こします。下地まで侵食されたカビは素材そのものを弱らせ、強度低下や耐久性の低下を招くこともあります。

そのため、壁紙のカビのみならず、下地材の湿潤性・防水性の視点も含めた対策が不可欠です。

4. カビ除去・除菌・消毒の基礎知識

「カビを取る」という言葉にはさまざまな意味が含まれており、除去・除菌・消毒・殺菌などの違いを正しく理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。

4-1. 「除菌/消毒/殺菌/滅菌」の違いと使い分け方

  • 除菌(じょきん):菌の数を減少させること。必ずしも完全に菌を無くすわけではなく、「衛生的基準を満たすレベルまで減らす」ことを指すことがあります。

  • 消毒(しょうどく):病原性微生物を減少させ、感染を防ぐこと。一定の基準でウイルス・細菌を不活化させる処理。

  • 殺菌(さっきん):微生物を殺して無効化すること。対象菌の死滅を目指す。

  • 滅菌(めっきん):すべての微生物(菌・ウイルスを含む)を完全に死滅させること。医療器具などに用いられる高水準処理。

このように、家庭や建物のカビ対策では主に「除菌・殺菌・消毒」の領域が該当します。滅菌レベルにするのは現実的ではありません。ですから、除菌剤・消毒剤を用いる場合、それがどのレベルまで効果を発揮するか(たとえばカビ胞子まで届くか、表面菌のみか)を確認することが重要です。

4-2. カビ除去剤(塩素系・酸素系など)の選び方と注意点

カビ除去剤には大きく以下の系統があります:

  • 塩素系(次亜塩素酸ナトリウムや塩素化合物)
     強力で速効性がありますが、金属を腐食させたり、漂白作用があったり、臭気・刺激性が強いというデメリットがあります。また、素材を傷める可能性があるため、使用前に目立たない箇所で試すことが望ましいです。

  • 酸素系(過酸化水素・過炭酸ナトリウム等)
     漂白・除菌効果を持ちつつ、比較的安全性が高いものが多いです。ただし、十分な濃度・作用時間が確保できないと効果が出にくい場合があります。

  • 界面活性剤系・エタノール系・抗菌剤併用型
     菌膜を溶解したり、カビ表面のぬめりを除去する補助的な働きを持つもの。単体では強力な除菌力は期待できないため、併用や適切な補助処理が必要です。

  • 特殊配合タイプ(防カビ成分+除菌成分)
     除菌後に防カビ剤も含んでおり、再発抑制効果を持たせた製品もあります。業務用ではこうした複合型が主流です。

注意点として

  1. 素材への影響:木材、布、プラスチック、塗装面などは除去剤によって劣化・変色する可能性があります。必ず目立たない部分でテストを行うべきです。

  2. 換気・保護具:強い薬剤を使う場合はマスク・ゴーグル・手袋を着用し、十分な換気を行います。

  3. 作用時間の確保:ただ吹きかけて拭き取るだけでは効果が限定的です。指定時間(数十分から1時間以上)放置できるか確認する必要があります。

  4. 中和処理:薬剤残留があると壁材や下地を傷めることがあるため、処理後の洗浄・中和が必要になる場合があります。

  5. 再発抑制:除去後すぐに防カビ処理を行うことが望ましいです。

このような知識を踏まえて、次章以降で具体的な対応ステップを見ていきましょう。

5. 漏水被害後の対応ステップと優先順位

漏水とカビ被害が起きた場合、焦らず段階を踏んで対応することが重要です。以下に、被害発見から復旧までの一般的な流れと、優先順位を解説します。

5-1. 応急処置と被害範囲の記録(写真・測定など)

まずは被害を最小化するための応急処置です。

  • 漏水箇所を特定し、水が広がらないようバケツやタオルで水を受け止める。

  • 通電箇所付近の場合、感電や電気事故の危険もあるため、電源を切る。

  • 被害箇所・範囲を写真撮影・記録する。湿っている状態、シミ、剥がれ、カビ発生状況などを網羅的に残しておく。

  • 湿度・温度・表面水分量を可能であれば測定記録する(デジタル湿度計・赤外線温度計・壁面水分計等)。

  • 他の住戸や共用部への波及リスクがある場合、管理会社・管理組合へ速やかに報告する。

記録があると、後の原因追及や保険請求、業者見積もり時の正当性裏付けになります。

5-2. 水止め → 乾燥 → カビ除去 → 防カビ処理

被害範囲が記録できたら、以下のプロセスで作業を進めます。

  1. 水の流入を止める
     漏水源が給排水管・外壁・ベランダなどであれば、まずそこを止水することが最優先です。応急的に元栓を操作したり、止水テープ・補修パテを使ったりします。

  2. 乾燥・除湿
     湿った建材や壁面を乾燥させます。送風機、エアコンのドライモード、乾燥機、除湿機を用いて、可能な限り内部から水分を抜くことが肝要です。乾燥不足のまま除菌処理を行うと、薬剤作用が十分に効かないことがあります。

  3. カビ除去・除菌
     乾燥が進んだら、適切な除菌剤を使ってカビを除去します。表面の黒ずみを拭き取り、その後裏面や下地層にも作用させるような処理を行います。上述の除菌・消毒知識もここで活かされます。

  4. 防カビ処理
     除菌後の表面に防カビ剤を塗布しておくことで、再度のカビ繁殖を抑制します。防カビ剤には即効性・持続性・安全性のバランスが求められます。施工後は規定時間養生を行います。

  5. 仕上げ・補修
     壁紙の交換・補修、下地補修、塗装直しなどを行います。ただし、除菌処理が不完全だと再発リスクが高いため、仕上げ前の確認を怠らないようにします。

このように、ステップを抜かず確実に進めることが、漏水からの復旧を成功へ導きます。

6. 管理組合・管理会社・入居者の責任と保険対応

漏水被害がマンションで発生した場合、「誰が責任を持つのか」「どこまで保険でカバーできるか」が非常に重要になります。本章では、責任区分と保険活用法を整理します。

6-1. 漏水原因が共用部か専有部かで変わる責任区分

マンションでは「共用部」と「専有部(住戸内部分)」の区別があり、それによって責任が大きく変わります。

  • 共用部での漏水
     給水本管、給湯本線、共有廊下の排水管、屋上・外壁・防水層等のうち、住戸所有者が単独では修理できない部分は共用部です。これらの漏水や外装部での雨漏りなどの原因は、管理組合(または管理会社)によって修繕・保守されるべきであり、修理費用は修繕積立金や管理組合の予算で負担されます。

  • 専有部での漏水
     住戸内の配管(分岐管・給湯器接続部・洗面所・トイレ・浴室内部の給排水経路など)は通常専有部です。これらの経路で生じた漏水は、原則として住戸所有者(入居者・所有者)が対処・修繕すべき範囲になります。

ただし、実態はもっと複雑で、「原因の所在」「過失の有無」「影響の拡大」などが争点になります。たとえば、住戸内の配管が劣化して漏水を起こし、下階住戸にまで影響を及ぼした場合、所有者間で賠償責任が問われることがあります。

このような紛争を避けるため、事前に管理規約において「漏水時の責任範囲・対応手順」を明文化しておくことが望まれます。

6-2. マンション総合保険・個人賠償責任保険の活用方法

多くのマンションでは「マンション総合保険(建物保険・共用部保険)」を契約しており、共用部の損害・修繕費用をカバーする場合があります。ただし、保険の適用可否は原因・条件によって異なりますので、以下を確認する必要があります:

  • 保険の対象範囲:共用部の建物構造・屋根防水・外壁に限定されている場合が多い

  • 免責金額・自己負担:一定の自己負担金額がある場合がある

  • 給排水管損害補償特約:専有部配管や設備部分を補償対象とする特約が付帯されているか

  • 被保険者適用範囲:住戸所有者や管理組合、各戸入居者の補償対象がどう設定されているか

また、住戸所有者・入居者側は「個人賠償責任保険(または火災保険付帯賠償責任特約)」を持っているケースもあり、他人(他住戸)に与えた損害(漏水被害)を補償する場合があります。ただし、故意・重過失は補償対象外となることが多いため、契約内容をしっかり確認することが必要です。

保険を活用する際は、被害発生後できるだけ早く保険会社へ連絡し、被害状況を記録・証拠化して報告することが重要です。あとから「証拠不十分」を理由に請求が棄却されるケースもあります。

7. カビ再発を防ぐための予防策・環境改善

漏水修復・除菌後も、カビの再発を抑えるために室内環境の改善が不可欠です。以下は、具体的な予防策です。

7-1. 換気・除湿・空気の流れを確保する方法

  • 定期換気:窓を開けて風を通す、24時間換気システムを活用

  • サーキュレーター・扇風機併用:空気を循環させて湿気をこもらせない

  • 除湿機/空気除湿モード:特に梅雨・湿気が高い季節には定期的に稼働

  • 浴室・洗面所の換気扇長時間運転:湿気源から速やかに水蒸気を排出

  • 家具配置見直し:壁から離して設置し、背面に空気の流れを確保

  • 断熱・気密補強:住宅性能を高め、壁内部温度結露を防ぐ

これらにより、局所的な高湿度状態を避け、カビが発芽しにくい状態を維持します。

7-2. 室内湿度管理・素材選び

  • 湿度目標:室内湿度を55%以下、できれば40〜50%程度に保つ

  • 湿度センサー・データロガー設置:常時湿度変動をモニタリング

  • 防カビ性能クロス・壁材選定:抗菌・防カビ仕様を選ぶ

  • 無機質素材活用:タイル・ガラス・金属素材はカビが付着しにくい

  • カビ抑制塗料・断熱塗料:壁・天井に防カビ塗装を検討

  • 湿気の発生源制御:観葉植物・加湿器の使い方を工夫、布類の乾燥方法改善

こうした環境改善を継続することで、たとえ湿気が高まったときでも、カビが繁殖しづらい住宅環境を維持することが可能になります。

8. 管理組合で取り組むべき制度・点検体制

マンション全体として再発を防ぎ、構造的被害を抑えるためには、管理組合・管理会社が主導で制度・体制を整備する必要があります。

8-1. 定期点検・漏水診断体制の整備

  • 定期外壁・防水層点検:年1〜2回、高所足場やドローン・赤外線などを活用

  • シーリング目地検査:専用試薬・打診棒・カラー目視調査

  • 配管内視検査:給排水管の内視鏡調査や塩ビ管健全性評価

  • 漏水センサー設置:共用廊下・機械室・天井裏に漏水検知器を設置

  • 定期報告制度:点検結果を住戸所有者・入居者に公開し、透明性を保つ

このような体制を整えることで、漏水リスクを早期発見し、対処できる体勢を構築できます。

8-2. 大規模修繕での防水補強・仕様選定のポイント

大規模修繕時には、防水補強・仕様選定がカギを握ります。以下ポイントを押さえましょう:

  • 長寿命防水仕様の採用:ウレタン系塗膜、シート系防水、FRP、ゴム系防水など、性能と耐用年数を比較

  • 厚付け設計と目地処理の徹底:設計余裕を持たせ、防水層の厚み・目地処理を適切に

  • 二重防水構造の検討:防水層+保護層併用、透水防止対策

  • 目地シーリング仕様選定:可変幅目地、伸縮性材料、耐久性の高いシーリング材採用

  • 廊下・バルコニー排水設計見直し:勾配、ドレン位置、配管径の適正化

  • 仕様保証・メンテナンス契約:施工業者との保証期間・定期メンテナンス契約を確保

これらを適切に設計・選定することで、次なる漏水リスクを抑え、長期間の安全性を担保することができます。

9. 事例紹介:漏水 → カビ発生から復旧までの流れ

現実例を通して、被害の進行・対応・回復までの流れを理解することは非常に有益です。ここでは典型的なケースを紹介します。

9-1. 実際にあった典型的なケース

たとえば、上階の浴室給湯管継手部からじわじわと水漏れが発生し、下階住戸の天井部と壁に水シミが現れたケースがあります。最初は小さな水滴・湿り気程度だったため、入居者が気付かず放置していたところ、半年後には壁面全体に黒ずみ・カビが発生。しかも壁紙裏面や下地材内部にまでカビが浸透してしまった例です。

このケースでは、下階入居者は「天井を修理してほしい」と管理組合に申し立てを行い、管理組合調査の結果、上階の配管老朽化が原因と判明。上階住戸の所有者と管理組合間で費用分担の議論となりました。最終的には、上階所有者負担で給湯管の全面交換+被害補修、管理組合負担で天井・壁・クロス張替えがなされ、再発防止処置として防水補強・換気改善が併施されました。

9-2. 復旧にかかる工事内容・期間・コスト要因

復旧工事の内容・期間・コストは、被害の規模・範囲・対象素材・アクセスのしやすさ・養生・施工仕様などに左右されます。以下に要因と目安を示します。

要因 内容 影響
被害範囲 局所被害か全面被害か 範囲広いほど工期・費用がかかる
素材種類 石膏クロス・塗装壁・石材等 高級素材は張替えコストが高い
下地侵食度 下地まで湿潤・カビ侵入なら補修必要 補修工程が増える
アクセス 足場・養生の手間 高層階では足場設置費用が大きい
仕様・保証 高性能防水・防カビ処理など 仕様を上げるほど単価が跳ねる
乾燥期間 十分な乾燥を確保できないと再発リスク 乾燥時間を確保すると工期が伸びる

一般的な中規模被害(1住戸・天井壁クロス交換程度)であれば、工期は1〜2週間、費用は十万円〜数十万円程度が目安となります。しかし、下地補修・防水補強まで必要となると、工期は数週間〜一か月以上、費用も百万円近くに上ることもあります。

10. 専門業者の選び方と依頼時のチェックポイント

最後に、漏水・カビ被害の対応を外注する場合、信頼できる業者を選ぶための基準と契約時の注意点を解説します。

10-1. 業者選定の基準(技術・薬剤・保証など)

業者選定時には以下のポイントを重視すべきです:

  1. 技術力・実績:漏水工事・防水工事・カビ除去の事例が豊富で、施工写真・事後保証を提示できること

  2. 使用薬剤の安全性:人体・素材にやさしい薬剤を採用しているか、第三者試験データを持っているか

  3. 保証制度:防水・除菌処理後の再発保証やアフターケア制度が整備されているか

  4. 施工体制:足場、高所作業、安全対策、養生、下請け管理などが適切か

  5. 見積もりの透明性:材料・人件費・養生費・廃棄費用等が明確に区分されているか

  6. 契約書・工事仕様書:どこまで施工するか、工程・仕様・検査基準・補償内容を明文化できるか

これらをクリアしている業者であれば、安心して依頼できる可能性が高まります。

10-2. 見積もり比較・契約時注意点

業者との契約時には、次の点に注意しましょう:

  • 複数業者からの見積もり取得:最低2~3社比較し、見積もり内容を精査

  • 仕様の共通化:見積もり比較しやすいように仕様条件(防水材種類・厚み・保証年数など)をそろえる

  • 契約書内容明細化:工事範囲・仕様・工程・使用材料・保証期間・中途解約条件などを明記

  • 中間検査・竣工検査:工程中段階でのチェックポイントを設け、完成後には住戸所有者・管理組合による立ち合い検査

  • 支払条件:前金・中間金・最終金の支払割合を決め、最終金は検査合格後支払う方式を推奨

  • 保険付帯:業者が賠償責任保険や施工保証保険に加入しているか確認

  • アフターメンテナンス:定期点検や軽補修を含む保守契約を含めておくと安心

カビ取り・カビ対策はカビバスターズ大阪・カビ取リフォーム名古屋/東京へ

マンションにおける漏水・カビ被害は、単なる汚れではなく建物そのものの寿命を縮める深刻な問題です。そして、カビをただ落とすだけでなく、「素材を傷めず」「再発を防ぎ」「美観を回復する」までを一貫して対応できるのが、カビバスターズ大阪およびカビ取リフォーム名古屋/東京の強みです。

当社が提供する独自技術「MIST工法®」は、木材やクロス、繊細な素材にも対応できる特殊除カビ技術で、カビを根こそぎ分解・死滅させつつ、人体やペットにも安全な薬剤を使用しています。こすらず削らず、素材に優しく処理できるため、歴史的建造物から一般住宅まで、幅広く導入されています。

さらに、運営会社である株式会社タイコウ建装は、住宅・マンション・商業施設等の内装リフォーム事業を長年手がけており、カビ除去と同時に壁紙張替え・床補修・断熱強化・間取り変更などのリフォーム施工まで一括対応が可能です。これにより、「カビを除去したけれど見た目がそのまま」というような中途半端な対応ではなく、根本除去+快適な空間づくりまで一貫してお任せいただけます。

カビや漏水は、一度発生すると繰り返すことも少なくありません。その場しのぎではない、再発防止を見据えた長期的な視点での施工が求められます。だからこそ、私たちは単なる「除カビ屋」ではなく、生活空間を守るトータルパートナーとしてお客様の住環境に向き合います。

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