高強度で寸法安定性に優れ、住宅の構造部材として人気のLVL(ラミネーテッドベニアランバー)。しかしその堅牢さゆえに、湿気や結露により内部でカビが発生すると気づきにくく、対処が遅れると構造の劣化やアレルギー症状の引き金にもなり得ます。この記事では、LVLにカビが発生する原因や住宅への影響、初期チェック方法、さらに専門業者による適切な対策まで、安心できる住まいづくりに役立つ情報を網羅してお届けします。
1. LVL(ラミネーテッドベニアランバー)とは?特徴と耐久性
住宅や建築構造に使われる木材の中で、近年とくに注目されているのがLVL(ラミネーテッドベニアランバー)です。LVLは薄くスライスした単板(ベニア)を繊維方向を揃えて接着し、プレスして一体化した構造材で、強度と安定性に優れているのが特長です。ツーバイ材や無垢材とは異なり、寸法変化が少なく、反りやねじれが発生しにくいため、梁や土台、柱、胴縁など幅広い部位で使用されています。
1-1. LVLの構造と製造プロセス
LVLは複数の単板を、木目(繊維方向)をすべて同じ向きに揃えて接着剤で貼り合わせ、加熱と圧力を加えることで一体化させた材料です。この構造により、無垢材では難しい高い均一性と強度が実現されます。また、節や割れといった自然木材にありがちな欠点が最小限に抑えられているため、構造材としての信頼性が非常に高いのが特徴です。
さらに、製造時に寸法がコントロールされているため、長さや幅、厚みのバラつきが少なく、施工精度の高い建築が可能になります。これにより、大型建築から住宅まで、幅広い用途で採用されるようになってきました。
1-2. 強度、寸法安定性などツーバイ材との違い
一般的なツーバイ材と比較すると、LVLは強度や寸法の安定性で大きな優位性を持ちます。特に、圧縮強度・引張強度・曲げ強度において、ツーバイ材を上回る性能を発揮します。また、乾燥時の収縮や反り、ねじれがほとんどないため、建物全体の剛性が安定しやすく、施工後の不具合も発生しにくくなります。
ただし、LVLも木材である以上、湿気や水分に対して完全に無敵ではありません。含水率が高くなるとカビや腐朽菌の繁殖リスクが高まり、接着剤の劣化などを引き起こすこともあります。どれだけ高性能な構造材でも、使用環境によってはメンテナンスが必要となるため、適切な湿度管理と保護が不可欠です。
2. なぜLVLにカビが発生するのか?湿気との関係
LVLは高強度で寸法安定性にも優れた構造用木材ですが、木材である以上、湿気との関係を切り離すことはできません。とくに日本のような湿度が高い環境では、管理を怠るとLVLにもカビが発生し、構造的な劣化や衛生面での問題につながるおそれがあります。ここでは、LVLにカビが発生する主な原因と背景を解説します。
2-1. 湿度管理不足による木材への影響
LVLは製造時にしっかりと乾燥処理がされており、出荷時には含水率が10〜15%程度に抑えられています。しかし、施工後の湿度管理が不十分だと、木材は周囲の空気から水分を吸収し、含水率が急激に上昇することがあります。
特に注意が必要なのは、梅雨時や冬の結露シーズンです。換気不足の床下や壁内部、通気の悪い小屋裏空間などでは湿気がたまりやすく、含水率が18%を超えるとカビの繁殖が活発になるといわれています。LVLも例外ではなく、表面だけでなく内部にも湿気が浸透することで、カビが深部で繁殖しやすくなります。
また、基礎断熱や高気密住宅で使用されている場合は、気密性の高さが逆に湿気の逃げ道をふさぎ、知らぬ間にLVL材の内部でカビが進行しているケースもあります。
2-2. 18%以上の含水率がリスクに
LVLに限らず、木材は含水率が18%を超えるとカビが発生しやすくなります。この値は「カビ発生危険域」と呼ばれることもあり、目視では乾燥して見えても、内部に湿気を抱えている場合があるため注意が必要です。
特に注意すべきなのは、LVL材の接合部や重なり部分、梁と柱の接点など。こうした場所は湿気が滞留しやすく、なおかつ空気の流れが悪いため、カビの温床となりやすいのです。仮に含水率が20%を超える状態が続けば、カビだけでなく木材腐朽菌(腐れ)や接着剤の劣化といった二次被害も招きかねません。
LVLは加工精度が高く、均質な素材であることから一見すると劣化しにくそうに見えますが、内部まで湿気が浸透した場合には、通常の木材以上に気づきにくく、進行が深刻化しやすいという点にも注意が必要です。
3. 放置するとどうなる?カビによる構造への影響と健康リスク
LVLにカビが発生しても、すぐに建物全体が崩れるような深刻な事態にはならないかもしれません。しかし、カビは静かに、確実に建材を侵食し、住環境に悪影響を及ぼしていきます。構造材として使用されることの多いLVLにカビが広がると、建物の安全性や居住者の健康にまで波及するおそれがあります。ここでは、放置した場合に起こるリスクを具体的に見ていきましょう。
3-1. 木材の腐朽や変形・寸法変化
カビの胞子が木材内部に入り込むと、木材細胞を分解する微生物(腐朽菌)と連動して、材質そのものが劣化していきます。LVLは層状に接着された構造をしているため、接着層にカビが入り込むと、そこから接合部の剥離が起きやすくなります。
特に梁や床束、柱など、荷重を支える部位でのカビや腐朽の進行は深刻です。木材の強度が低下し、建物のたわみや傾き、床の沈み込みなどを引き起こす原因になります。また、LVLは寸法安定性に優れていますが、湿気を吸収し続けることで反りや曲がりが発生し、施工不良や仕上げ材の剥がれにもつながりかねません。
こうした変形や腐朽は目に見える段階ではすでに進行しているケースが多く、対応が遅れるほど補修のコストや範囲が大きくなるため、早期発見・早期対処が重要です。
3-2. 住環境の悪化とアレルギーリスク
カビは構造材を傷めるだけでなく、住んでいる人の健康にも影響を与えます。特に高気密な住宅では空気の循環が少なく、カビの胞子や揮発性の化学物質が室内に滞留しやすい傾向があります。
カビの胞子は非常に軽く、空気中に浮遊しながら呼吸とともに体内に取り込まれることで、以下のような症状を引き起こすことがあります。
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喘息や気管支炎の悪化
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目や喉のかゆみ・違和感
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慢性的な鼻炎や咳
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子どものアレルギー症状の誘発
また、カビ臭は精神的にも不快感をもたらし、長く住んでいる人でも「家に帰ると頭が重い」「夜になると咳が出る」など、原因不明の体調不良に悩まされることがあります。
特にLVLは壁の内側や天井裏など、目に見えない場所に使用されることが多いため、気づかぬうちにカビが広がり、室内の空気環境を悪化させていることも珍しくありません。
4. 自宅でもできるチェック方法と初期対応策
LVLにカビが発生しているかを完全に見極めるには専門的な調査が必要ですが、日常の中でもいくつかのサインを通して早期発見につなげることが可能です。ここでは、住宅のカビを見逃さないためのチェックポイントと、初期の簡単な対応策をご紹介します。
4-1. 室温・湿度観察と結露の確認方法
もっとも基本的で効果的なのが、「湿度の把握」です。カビは湿度70%を超える状態が長時間続くと急激に繁殖しやすくなるため、リビング・寝室・床下・天井裏などの空間ごとに、湿度計を設置してチェックするのが第一歩となります。
また、以下のような兆候にも注意を払いましょう。
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窓や壁に結露が頻繁に見られる
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壁紙が浮いている・変色している部分がある
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部屋やクローゼット内にカビ臭がする
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家具の裏や収納の奥がジメジメしている
これらのサインは、室内の空気や構造材に過剰な湿気がたまっている可能性を示しています。特に結露は、カビ発生の前兆として非常にわかりやすいポイントです。見つけたらこまめに拭き取るとともに、根本的な湿気対策が必要です。
4-2. LVLの乾燥維持と保管対策
新築やリフォーム時にLVLを使う場合は、施工前の保管環境にも気を配る必要があります。屋外に長時間放置されたLVLは、雨や湿気を吸い込みカビの原因になります。施工現場では、ブルーシートなどでしっかりと養生し、風通しの良い場所に保管するよう心がけましょう。
すでに住宅に使用されているLVLについては、空気の流れを作ることが重要です。換気口や床下の通風が確保されているか、家具の配置で通気が妨げられていないかを見直すことで、カビの予防効果が高まります。
また、除湿機やサーキュレーターを活用して空気の動きをつくるのも有効です。室内の空気が滞ることを防ぎ、壁内の温度差や湿度差による結露を抑える効果が期待できます。
5. LVLでカビを防ぐための効果的な対策
LVLは寸法安定性に優れた高性能木材ですが、湿度管理を怠れば他の木材同様にカビの影響を受けてしまいます。とくに、構造材として壁や床の内側に使われることが多いため、一度カビが発生すると発見が遅れ、深刻化しやすいのが現実です。ここでは、LVLをカビから守るための具体的かつ効果的な対策をご紹介します。
5-1. 含水率管理と乾燥環境の維持(目標12±4%)
木材にカビを発生させないためには、含水率を15%以下、理想的には12±4%に保つことが最も重要です。施工時にしっかりと乾燥されたLVLでも、現場の環境が湿っていれば、簡単に再吸湿してしまいます。
そのため、次のような環境管理が不可欠です:
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屋内の湿度を60%以下に保つ(特に梅雨・冬季)
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換気扇や24時間換気システムの定期的な清掃と稼働確認
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床下や屋根裏などの閉鎖空間にも空気の流れをつくる
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結露防止のために室温と外気の温度差を減らす工夫
また、新築時や改修時には、施工前のLVLの含水率を測定することも重要です。必要であれば一時的に乾燥室や除湿器で再調整し、カビが発生しにくい状態で施工を進めましょう。
5-2. 防湿材や塗装による表面保護
もうひとつの対策が、LVL表面の湿気ブロックです。特に、壁内や床下など湿気がこもりやすい場所では、以下のような処理を施すことで、カビの発生を防ぐことができます。
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防湿フィルムやシートの貼付け(床下・壁面・屋根裏)
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防カビ塗料や撥水塗料によるコーティング
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防腐・防カビ薬剤の含浸処理
これらの処理により、LVLの表層から湿気やカビ菌が侵入するのを防止できます。特に、構造材が空気に触れる部分や結露しやすい箇所には、塗膜の耐久性や密着性に優れた専用塗料を選ぶことが効果的です。
また、屋外や半屋外に露出するLVLには、UV耐性のある塗料を使うことで、日射や降雨からのダメージも防げます。物理的な保護と化学的な保護を併用することで、より確実にカビを防止できます。
6. 専門業者に相談すべきタイミングと選び方のポイント
LVL材にカビが発生した場合、自力での対応には限界があります。特に構造材として壁の中や床下に使用されているケースでは、表面のカビだけを拭き取っても根本解決にはなりません。放置すれば構造劣化や健康リスクが高まるため、適切なタイミングで専門業者に相談することが非常に重要です。ここでは、業者へ相談すべき目安と、信頼できる業者を選ぶためのポイントをご紹介します。
6-1. 自力で対処しきれない状況の見極め方
以下のような兆候が見られたら、すぐに専門業者への相談を検討しましょう:
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壁紙の裏や床下からカビ臭がする
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何度掃除しても同じ場所にカビが再発する
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LVLの表面に変色や黒ずみが見られる
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床がきしむ・沈むなど構造的な異常がある
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家族にアレルギーや咳などの症状が出ている
特に、カビの発生源が特定できない場合や、内部に広がっている可能性がある場合は、個人での対処は危険です。放置することで被害が拡大し、修繕費がかさむことも珍しくありません。
専門業者は、含水率測定器や赤外線カメラ、内視鏡などの機器を用いて、目に見えない場所のカビの状況まで的確に把握できます。さらに、適切な除去方法と再発防止策まで含めたトータルな提案ができるのが強みです。
6-2. 安全性と効果を重視した施工内容の選び方
カビ対策を専門に行っている業者を選ぶ際には、以下のポイントを重視してください:
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人体や建材に優しい薬剤を使用しているか
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除去だけでなく、再発防止まで対応してくれるか
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壁の中や構造材の深部まで処理できる技術があるか
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施工後の保証やアフターフォローが明確か
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実績が豊富で、住宅構造に詳しいか
たとえば、カビバスターズ大阪が採用している「MIST工法®」は、建材を傷つけずに深部までカビを分解・除去し、さらに高い持続力を持つ防カビ処理で再発を防ぐ独自技術です。人体やペットへの安全性も高く、小さなお子様や高齢者がいる家庭にも安心して導入できます。
また、LVLのような構造用集成材は施工部位が広範囲かつ密閉空間にあるため、その材質と用途を理解した専門家によるアプローチが不可欠です。
LVL材のカビ除去・再発防止は、カビバスターズ大阪にお任せください
LVL(ラミネーテッドベニアランバー)は、建物の構造を支える重要な部材でありながら、湿気や含水率の上昇によってカビが発生しやすい素材でもあります。とくに壁内部や床下に使用されている場合、カビの進行が見えにくく、気づいた時にはすでに深刻化していることも少なくありません。
そんなLVL材のカビ対策に最適なのが、**カビバスターズ大阪の「MIST工法®」**です。私たちは、構造材や建材の性質に合わせて専用薬剤を都度調整し、素材をこすらず削らず、カビを根こそぎ分解・除去します。さらに、除菌後には防カビ処理までを一貫して行い、即効性・持続性・安全性を兼ね備えた空間環境の改善を実現しています。
MIST工法®で使用される除カビ剤・防カビ剤は、工業排水試験などの各種安全性試験をクリアしており、小さなお子様や高齢者、ペットがいるご家庭でも安心してご利用いただけます。特に、空気がこもりやすいLVL住宅の構造特性にも適した施工方法のため、壁内・床下・屋根裏などあらゆる場所に対応可能です。