家の中でしつこく続く咳や痰、実は風邪ではなく室内カビが原因かもしれません。この記事では、浴室・キッチン・押入れなどにひそむカビが呼吸器に与える影響をわかりやすく解説します。咳や痰が長引いて困っている方、また呼吸器症状を予防したい方に向けて、具体的な原因・対策・受診の目安まで網羅しました。生活環境を整えて“カビ由来”の呼吸器トラブルから身を守る第一歩を一緒に踏み出しましょう。
1. 室内カビと咳の関係性を知る
湿気がこもりやすい日本の住宅環境では、見えにくい場所で発生したカビが咳を招くケースが少なくありません。まずは、なぜ室内カビが「咳」という症状を引き起こすのか、そのメカニズムから整理します。
1‑1. 室内カビが咳を引き起こすメカニズム
室内に発生するカビは、その胞子(カビの“種”のような微細な粒子)を空気中に放出します。これらの胞子を人が吸い込むと、呼吸器の粘膜(気管支や肺の入り口付近)に付着し、免疫反応やアレルギー反応を引き起こすことがあります。例えば、ある報告によれば、湿度・温度が高くカビが繁殖しやすい環境では、咳などの呼吸器症状が出るケースが多いとされています。
さらに、咳という反射は、気道に異物(この場合カビ胞子やそれに対する分泌物・炎症物質)があると体が除こうとする防御反応でもあります。ですから、室内カビが多くなるほど、無意識に「咳」が出やすい環境になると言えます。
また、長期間にわたりカビ胞子を吸い続けると、気管支の粘膜が慢性的に刺激を受け、咳が「しつこく」「長引く」傾向が出てきます。軽い風邪と思って放置すると、実は原因がカビだったということもあります。医療機関の説明によると、こうした「長引く咳」は、家の中のカビ環境を調べるきっかけになるとのことです。
以上のように、室内カビ→胞子の吸入→気道への刺激・アレルギー反応→咳という流れが成り立ちます。何気ない咳だからと軽視せず、「家の中にカビが発生していないか」を疑うことが大切です。
1‑2. 咳が止まらないときにカビが疑われる理由
風邪やウイルス感染による咳ならば、薬を飲んだり休養を取ったりすれば比較的早く回復することが多いです。しかし、以下のような特徴がある場合には、室内カビが原因の可能性を考えるべきです。
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自宅や特定の部屋にいるときに咳が増える、逆に外出すると症状が軽くなる
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咳が数週間〜数か月にわたって続いていて、風邪薬を飲んでも改善しない
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湿気がこもる浴室・キッチン・押入れなどにカビが見える・または以前見えていたことがある
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家の中の湿度が高い・結露が多い・換気が不十分な環境である
実際に「家の中のカビが原因で咳が長引く」という報告もあり、例えば「家に帰ると咳が出る」「職場では出ない」というパターンは、カビ由来のアレルギー反応や過敏性肺炎の典型です。
このような状況では、「風邪だと思っていたけれど咳が止まらない」という方には、家のカビ環境をチェックすることをおすすめします。また、カビ対策を行ったら改善が見られたというケースもあるため、咳が続くなら原因環境を見直すことは非常に有効です。
2. 室内カビと痰・気道症状のつながり
咳だけでなく、痰(たん)が出るような気道症状を伴う場合、室内カビがより深く影響している可能性があります。ここでは、痰・気道の関係性について掘り下げます。
2‑1. カビが痰を伴う咳をもたらすケースとは
「痰」とは、気道に侵入した異物や炎症反応により粘液が過剰に分泌されたものです。室内カビが原因で気道に刺激が加わると、気道の粘膜が防御反応を起こして粘液を作り、それが痰として出ることがあります。特に、気道の奥深くまでカビ胞子が届いたり、気道の炎症が慢性的に続いたりする場合には、黄色・緑色がかった痰が出ることもあります。実際、呼吸器関連の専門サイトでは、「咳・痰・息切れ」を伴う症状を、カビを原因とする肺・気道疾患のひとつとして紹介しています。
このような場合、単なる風邪や一過性の咳より症状が重くなりやすく、痰が粘り気を帯びたり、夜間あるいは朝方に症状が強く出たりすることが特徴です。また、痰が出るということは、気道の防御機構が働いているサインですので、カビの存在を無視して放置すると、症状が慢性化する恐れがあります。
2‑2. 気道や肺への影響:痰・喀出の観察ポイント
痰・咳がある程度続くと、気道だけでなく肺胞や肺自体に炎症が波及するリスクがあります。例えば、ある種のカビ(例:トリコスポロン)の胞子を繰り返し吸入し続けると、慢性的な炎症によって肺組織が硬くなり、いわゆる「肺線維化」に至ることも報告されています。
観察しておきたいポイントとしては以下が挙げられます。
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朝起きた直後や夜間に痰が多く出る・咳が続く
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痰の色が透明ではなく、白や黄色がかっている(粘性もある)
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咳・痰だけでなく、息苦しさや胸の圧迫感・微熱・倦怠感が併発する
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症状が「自宅にいるとき」「特定の部屋にいるとき」に強く出る
これらの傾向が見られた場合、呼吸器専門医への相談も視野に入れつつ、室内カビの発生状況・対策を早急に行うことが重要です。気道症状は身体の「警告サイン」ですので、見過ごさないことが肝心です。
3. 浴室カビが咳を引き起こす具体的なシナリオ
湿気が溜まりやすく、カビが生えやすい場所として代表的なのが浴室です。ここでは、浴室でカビが発生し、それが咳を誘発するまでの流れと対策を具体的に説明します。
3‑1. 浴室・水回りにカビが発生しやすい理由
浴室は温度・湿度・栄養の条件がカビの繁殖に適している場所です。具体的には、入浴によって温度が上昇・湿度が高まり、壁や床に水分が付着・結露が発生しやすくなります。さらに、古い建材や目地・ゴムパッキンなどの隙間には皮脂や垢・石鹸カスなどの栄養源が蓄積しやすく、カビの繁殖を助長します。専門サイトでも、「浴室・洗面所・キッチンはカビが発生しやすい場所」と明確に記載されています。
また、換気不足や使用後の乾燥不足もカビを増やす一因です。浴室使用後に扉を閉めたままにしたり、浴槽や壁の水滴を放置したりすると、それだけでカビが増殖しやすくなります。こうした浴室という空間構造が、カビ発生の温床になってしまうのです。
3‑2. 浴室カビによる「長引く咳」の実例と予防
浴室に発生したカビがどのように「咳」を引き起こすかについては、次のようなシナリオが典型的です。たとえば、浴室のゴムパッキンや目地部分に黒カビ・白カビが発生し、その胞子が風呂場でのシャワー利用や換気時の空気流動によって浴室外に飛散します。その後その房間(例:脱衣所や寝室)へカビ胞子が移動し、それを吸入した人が咳や息切れ、痰の増加を感じ始めるという流れです。実際、「浴室・エアコン内部・押入れ」など、見えにくい場所のカビが原因で発症したという報告もあります。
予防のポイントとしては以下が挙げられます:
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入浴後に浴室の壁や床についた水滴をタオルで拭き取り、浴室乾燥機や換気扇を最低10〜15分運転し湿気を飛ばす
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シャワー使用後や湯張り後に扉・窓を開けて換気を確実に行う
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ゴムパッキン・目地・排水口まわりなど、カビが発生しやすい部分を定期的にチェックし、カビ取り剤での清掃を行う
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浴室用のシートやマット、入浴後の衣類を湿ったまま放置しない
これらの対策を継続することで、カビの発生と、その結果としての咳・呼吸器症状のリスクを大きく下げることができます。
4. キッチンカビと呼吸器症状:意外な関係
キッチンもまたカビ発生の危険ゾーンですが、「キッチン=食材」だけではなく「呼吸器症状=咳・痰」に繋がる可能性があります。ここではその意外な関係と対策を解説します。
4‑1. キッチン環境でカビが咳に影響を与える仕組み
キッチンは「水まわり」「油まわり」「食品まわり」の要素が合わさるため、カビにとって理想的な環境になりやすいです。具体的には、シンク下の収納スペース、排水口、冷蔵庫の裏、換気フードまわり、調味料置き場の壁面などが要注意です。これらの場所では、湿気+食品の残りかす+空気の停滞が起こりやすく、カビが生育しやすくなります。専門サイトでも、キッチンがカビの発生場所の上位に挙げられています。
カビが発生すると、料理時の熱や換気扇の動きでカビ胞子が空気中に舞い、調理時の気流によってリビングやダイニング、寝室側にまで流れていくことがあります。そこから吸入されることで、キッチンが「咳・痰」など呼吸器症状の発端になることがあります。また、キッチンとリビングが一体型の間取りでは特にこのリスクが高まります。
4‑2. キッチンカビがもたらす健康リスクと対策
キッチンカビによる健康リスクには以下のようなものがあります:
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咳・痰・気道の違和感:前述のようにカビ胞子吸入による刺激やアレルギー反応
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アレルギー性鼻炎・喘息悪化:食品カビや菌とカビの組み合わせがホコリ・ダニと絡むことで、喘息の発作誘発要因となることもあります。
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食材の変質・衛生リスク:見た目にはわからないカビが食品周辺に発生すると、カビ毒や菌の影響により健康被害を招く可能性があります。
対策としては次のような具体的なアクションが有効です: -
シンク下・排水口・壁面など、一見見えにくい場所を定期的に点検し、湿気が溜まっていないかを確認する
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調理中・調理後に換気扇を十分に使用し、料理後も10〜15分以上換気を継続する
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調味料や食材の保管場所は湿度・温度が低く・風通しの良い環境にし、密閉容器を活用する
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キッチン掃除の際には、カビが発生しやすい箇所(ゴムパッキン、壁面のタイル目地、シンク下収納)を重点的に清掃し、カビ取り剤やアルコール除菌を活用する
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調理時の油煙・水蒸気が停滞しないよう、料理中から換気を行う
こうした対策を定期的に実践することで、キッチンから発生するカビリスクを抑え、咳・呼吸器症状を防ぐことが可能です。
5. 押入れカビがもたらす呼吸器症状と注意点
「押入れ=見えない場所」と軽視しがちですが、実は押入れやクローゼットも、湿気・ホコリ・通気不良という三拍子が揃いやすく、カビの温床になり得ます。ここではその注意点と呼吸器への影響を詳しく見ていきます。
5‑1. 押入れ・収納スペースに潜むカビの危険性
押入れやクローゼットは、室内で人が長時間過ごすリビングと違い「開け閉めが少ない」「換気がほとんどされていない」「物がびっしり詰まっている」という特徴があります。これにより、湿気がこもりやすく、外気と室内の温度差で結露が発生することもあります。ホコリ・衣類の繊維くず・紙箱などが残っていると、カビの栄養源にもなります。実際、カビ発生の条件として「水分・温度・栄養・酸素」の4つが挙げられており、押入れがその条件を満たしやすい場であるとされています。
カビが押入れに発生すると、扉を開けた瞬間にカビ胞子やホコリが一気に飛び出し、それを吸い込むことで咳・痰・鼻炎など呼吸器症状が出ることがあります。また、寝室に近接している押入れであれば、就寝中にカビ胞子を吸入しやすい環境となるため、睡眠の質の低下や慢性的な咳の原因となる場合もあります。
5‑2. 押入れカビによる咳・呼吸器異常のサイン
押入れが原因となっている可能性がある症状には、以下のような特徴があります:
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起床時に咳や喉のイガイガ感がある、夜間に咳で目が覚める
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寝室に近い収納スペース(押入れ・クローゼット)の扉を開けた直後に咳が増える、くしゃみ・鼻水も出る
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室内の湿度が高い・結露が見られる・収納内部がカビ臭い
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掃除をしてもなかなか症状が改善せず、風邪薬を飲んでも咳が続いている
こうしたサインがある場合には、押入れ内部の換気・清掃・カビ除去を早急に行うことをおすすめします。具体的には以下の対策が有効です: -
押入れの内部を整理し、空気の流れを確保するために「衣装ケースを少し浮かせる」「扉を時おり開けて換気する」
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湿気対策として除湿剤・シリカゲル・小型除湿機を活用する
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押入れ内部の壁・天井・床の隙間・収納ケースの裏をチェックして、発生したカビがあれば市販のカビ取り剤または専門業者による除去を検討する
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寝具・衣類を収納する前に完全に乾燥させ、湿ったまま押入れに入れない
こうして押入れに潜むカビを放置しないことで、寝ている間に無意識にカビ胞子を吸い込んでしまうという事態を防ぎ、咳・呼吸器症状の予防につながります。
6. カビによる呼吸器疾患の重篤化リスク
咳・痰・呼吸器の違和感を伴う室内カビ問題は、放置すると「ただの咳」では済まなくなる可能性があります。ここでは、カビが原因となる呼吸器疾患のリスクと、重篤化を防ぐためのポイントを解説します。
6‑1. 夏型過敏性肺炎や肺線維症とカビの関係
代表的な重篤化リスクとして、夏型過敏性肺炎が挙げられます。これは、室内のカビ(特にトリコスポロン属菌)を繰り返し吸入することで、肺の中にアレルギー反応や炎症が生じ、咳・息切れ・倦怠感・発熱などを起こす病気です。
さらに、こうした過敏性肺炎を繰り返したり、原因除去が遅れたりすると、肺胞(酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる小さな袋状の構造)が硬化し、「肺線維症」に進行する可能性があります。肺線維化になると元の肺の柔らかさを取り戻すことが難しく、息切れ・運動耐性の低下といった慢性の呼吸器症状が残る危険があります。
このように、室内カビによる咳・痰を放置することは、呼吸器疾患を軽くみてはいけないという警告でもあります。特に、気管支や肺に基礎疾患がある方、高齢者、免疫が低めの方などはカビ対策を早めに行うことが重要です。
6‑2. 咳・痰を放置するとどうなるか:呼吸器病変の進行
咳・痰という比較的軽めの症状でも、以下のような流れで進行する可能性があります:
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室内カビ胞子を吸入 → 気道粘膜に炎症・刺激 → 咳・痰が出る
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炎症が長期化 → 気道の粘膜が厚くなったり、粘液分泌が増える → 咳・痰の頻度が増加
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炎症が気道深部(細気管支・肺胞)に波及 → 息切れ・胸の違和感・微熱などを伴うようになる
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原因除去が遅れたり、再曝露が続いたりすると肺胞壁が硬化 → 肺線維化や気管支拡張症など慢性呼吸器疾患につながる
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運動耐性低下・酸素交換効率の低下・生活の質低下へ
このような進行を防ぐためにも、咳・痰が「ただの風邪」と思って長く放置せず、室内環境を整えることが早期防止として非常に重要です。特に「家にいると症状が出る/外に出ると軽くなる」という特徴がある場合には、原因が屋内環境にある可能性が高くなります。呼吸器の専門医に相談する前に、まずはご自身で部屋のカビ発生場所を確認しておくことも有効です。
7. 効果的なカビ対策と日常ケア方法
咳・痰・呼吸器症状を防ぐためには、室内カビ対策を日常生活に落とし込むことが欠かせません。ここでは、プロ視点を交えながら実践的なケア方法を解説します。
7‑1. 湿度・換気・素材別のカビ予防ポイント
まず、カビが発生・繁殖しやすい環境要因をチェックして、それぞれに対策を行いましょう。
湿度管理:カビは一般的に「温度20〜30℃」「湿度60%以上」で活発化すると言われています。特に湿度が80%を超えると増殖スピードが速まります。したがって、室内の湿度を50〜60%以下に保つことが理想です。具体的には、湿度計を設置し、雨天・梅雨時・洗濯干し時などは除湿機や換気扇を活用することが有効です。
換気:換気が十分でないと、湿った空気やカビ胞子が室内にこもってしまいます。特に水回り(浴室・キッチン)や収納スペース(押入れ・クローゼット)は、入浴・料理・衣類乾燥後など水蒸気・湿気が発生しやすいため、使用後30分〜1時間程度の換気を心がけましょう。たとえば、浴室使用後は窓を開けるか換気扇を強モードに、キッチンでは料理後も換気扇を回し続けることがポイントです。
素材別注意点:カビは木材・壁紙・天井・カーペット・畳・布製インテリアなどに生えやすく、特に湿気に晒されやすい箇所が危険です。木材やデリケート素材は、こすったり削ったりすると素材を傷める可能性があるため、専用剤や適切なクリーニングが望まれます(後述する “プロ対応” が必要になる場面もあります)。
これらの基本対策を日常的に実践することで、室内カビの発生リスクを大幅に低減できます。そして、咳・痰・呼吸器症状を引き起こす可能性も同時に抑えられます。
7‑2. 咳・痰を伴うときの専門的なクリーニング・プロ対応
日常の掃除・換気でもカビ対策は進みますが、既にカビが目立っていたり、咳・痰という症状が出ていたりする場合には「専門業者によるクリーニング・除菌」が有効です。例えば、カビが壁や天井の内部まで入り込んでいたり、木材が湿気で傷んでいたりする場合には、一般的な市販カビ取り剤では除去が難しいことがあります。
プロのクリーニングでは、以下のようなサービスが期待できます:
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赤外線カメラや湿度計等を用いて、隠れたカビ発生箇所を特定
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専用のカビ除去剤・洗剤(人体・環境に配慮されたもの)を用いた処理
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水蒸気/湿気の原因となる建材補修・換気設備の改善提案
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処理後の防カビ剤(長期間持続性のあるもの)による仕上げ
特に、咳・痰という呼吸器症状を伴っている場合には「カビ胞子だけでなく、カビが出す物質(アレルゲン)・ホコリ・ダニ・建材の劣化物」など複数の要因が絡んでいることが多いため、専門的な診断・対策が功を奏します。事例として、「エアコンクリーニング後に咳が劇的に軽くなった」という報告もあります。 sanikleen.co.jp
また、家族にアレルギー体質・喘息・免疫低下の方がいる場合は、プロ対応を早めに検討することで重篤化リスクを減らすことにもつながります。カビ対策は「早め・徹底」がキーワードです。
8. いつ医療機関を受診すべきか?
「咳くらいで病院?」と思われるかもしれませんが、実は室内カビが原因の呼吸器症状は時間とともに悪化するケースがあります。ここでは、受診の目安とカビ関連疾患で疑うべきものを整理します。
8‑1. 咳・痰が長引くときの判断基準
次のような場合には、医療機関(特に呼吸器科)を受診することをお勧めします。
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咳・痰が2〜3週間以上続いている(市販薬で改善しない)
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咳・痰に加えて息切れ・胸の圧迫感・微熱・倦怠感がある
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自宅・特定の部屋にいるときだけ症状が出るが、外出時や別の環境では軽くなる
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痰が緑色・黄色・粘り気が強くなってきた、あるいは血痰の気配がある
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家族・同居者も似たような咳・症状を経験している(室内環境を共有している可能性が高いため)
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過去に喘息・アレルギー性鼻炎・肺疾患などがある
こうしたサインを見逃さず、早めに受診することで、重症化を防ぎやすくなります。医師には「家のどの部屋で咳が出やすいか」「湿度・換気の状況」「カビの目視有無」などを伝えると診断がスムーズになります。
8‑2. 呼吸器症状で疑うべきカビ関連の病気と診断の流れ
呼吸器症状があり、室内カビが疑われる場合に特に注意すべき病気には、以下のものがあります:
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夏型過敏性肺炎:室内カビ(特にトリコスポロン属)を原因とする過敏性肺炎。症状は咳・息切れ・微熱など。
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肺真菌症:健康な人では少ないですが、免疫の弱い方ではカビ(真菌)が肺内で増殖し、咳・痰・発熱・体重減少を引き起こす可能性があります。
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気管支喘息・アレルギー性気管支炎:カビ胞子やホコリ・ダニ等が気道を刺激し、痰・咳や喘息発作を起こすこともあります。
診断の流れとしては、まず、問診にて症状の経過・発生タイミング(自宅・特定の部屋で出やすいか)・既往歴・家の環境(湿度・換気・カビの有無)を確認します。次に、胸部レントゲン撮影やCT・呼吸機能検査・血液検査(好酸球・IgE抗体など)などが行われることがあります。カビ関連の疾患では、「原因環境から離れたときに症状が改善する」という特徴があるため、家を離れた際の症状変化も医師に伝えると診断に有利です。早期受診・早期対策で、重篤化・後遺症を防ぎましょう。
9. ケース別:場所ごとのカビ対策チェックリスト
では、実際に「どこをどう掃除・対策すれば良いか」を、場所別にチェックリスト形式で整理します。浴室・キッチン、押入れ・寝室など、気を付けるべきポイントを明確にします。
9‑1. 浴室・キッチン編:毎日のルーティンと掃除ポイント
浴室
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入浴後、壁や床についた水滴をタオルで拭き取り、浴室乾燥機や換気扇を10〜15分回す。
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使用後は扉/窓を開けて湿気を逃がす。
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月に1回以上、ゴムパッキン・目地・排水口のカビチェック。カビが見えたら市販のカビ取り剤またはプロに相談。
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エアコン(浴室暖房・乾燥機)を使っている場合、フィルター清掃・送風運転で内部の結露・カビ発生を抑える。
キッチン -
調理後、換気扇を10分以上回して油煙・水蒸気を排出。
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シンク下や排水口、冷蔵庫裏など湿気・ホコリが溜まりやすい場所を週に1回チェック。
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調味料・食材は密閉容器に入れ、壁面・棚に湿気がこもらないようにする。
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キッチンマット・布巾・ふきんは湿ったまま放置せず、使用後は洗濯・乾燥を行う。
このような日々のルーティンが、カビ発生を防ぎ、咳・呼吸器症状のリスクを下げます。
9‑2. 押入れ・寝室編:見落としがちなカビの見つけ方と対策
押入れ・クローゼット
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季節の衣替え時に、衣類を全部出して収納内部の壁・床・天井を点検。湿気・結露・カビ臭がないか確認。
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収納ケースは壁から少し離して設置し、背面に空気の流れを確保。扉を時おり開けて換気。
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衣類・寝具は完全に乾燥させた上で収納。湿ったまま入れない。除湿剤を収納内に置く。
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湿度計を押入れ内に設置し、湿度が60%を超えないように管理。
寝室 -
寝具(布団・マットレス・まくら)は週に1回以上干すか、布団乾燥機や陰干しを使って湿気を抜く。
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寝室の換気を夜間・朝方にも確保。窓を少し開ける・エアコンで除湿運転を活用。
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壁紙の隅・カーテン裏・ベッド下など“見えにくい”場所も月に1回チェック。カビの黒点・水染み・カビ臭があれば即対処。
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空気清浄機・除湿機の併用も効果的。寝ている間にカビ胞子を吸い込んでしまうリスクを下げられます。
これらのチェックと対策を継続することで、「見えない場所からのカビ侵入」による咳・呼吸器症状を未然に防ぐ力が格段に上がります。
10. まとめ:咳・痰の原因としてカビを見逃さないために
最後に、この記事でお伝えした内容を整理し、日常生活の中で実践すべきポイントをまとめます。
10‑1. 本記事のポイント再確認
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室内カビは、見えにくい場所(浴室・キッチン・押入れなど)で発生しやすく、カビ胞子を吸入することで咳・痰・呼吸器症状を引き起こす可能性があります。
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咳・痰が長引く・特定の部屋にいると症状が出る・風邪薬で改善しない、という特徴がある場合、室内カビが原因の可能性を疑うべきです。
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浴室・キッチン・押入れそれぞれの環境でカビが発生する理由と、そこから咳・呼吸器症状に至る流れを理解し、対策(湿度管理・換気・素材別ケア)を行うことが重要です。
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カビによる呼吸器疾患(例:夏型過敏性肺炎・肺線維症)のリスクもあり、症状を放置することは非常に危険です。症状が長引くときは医療機関受診を検討しましょう。
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日常ケア(湿度・換気・清掃)と、症状を感じたときの専門的なクリーニング・プロ対応を組み合わせることで、咳・痰などの呼吸器症状を予防できます。
10‑2. 生活環境を整えて、カビ由来の呼吸器症状を防ぐために
今すぐできることとして、まず「湿度計を設置する」「水回り・押入れなどの見えにくい場所を月に1回点検する」「換気を意識する」ことを始めてみてください。さらに、もし咳・痰が長く続いているなら、家のどの部屋で症状が出やすいかを観察し、「そこにカビがないか」をチェックしましょう。早めに手を打つことで、呼吸器を守る第一歩になります。また、気になったときには迷わず専門業者への相談、そして呼吸器科受診という選択肢も大切です。健康で快適な暮らしのために、家の中の“見えない敵”であるカビを侮らず、日々のケアを続けていきましょう。
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