医療施設内で発生するカビは、見た目の問題だけでなく、患者や医療従事者の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に免疫力の低下している患者にとっては、命に関わるリスクとなることもあります。
本記事では、医療施設におけるカビの健康リスクから、検査方法、安全な除去技術、そして再発防止策までを幅広く紹介します。専門業者による対応の必要性や、現場で実際に行えるチェックポイントも網羅しています。
医療施設の安全を守るためには、見えないカビへの正しい知識と対策が不可欠です。この記事を読むことで、施設の衛生管理の質を高め、患者とスタッフの健康を守る具体的な行動につながります。
医療施設内では、一般の建築物とは異なる高い衛生基準が求められます。にもかかわらず、壁の隙間、天井裏、配管まわり、空調ダクトなど、普段目が届きにくい場所にカビが潜伏することがあります。カビの胞子は空気中を浮遊し、室内環境に入り込みやすいため、免疫力低下の患者さんや医療従事者に健康被害を引き起こすリスクがあります。本章では、まずカビがどのような健康影響をもたらすかを押さえ、その中でも医療現場特有の懸念点を整理します。 カビはその種類によってさまざまな物質を放出します。主に問題となるのは以下のものです: 胞子:カビが繁殖する際に空気中へ放出される小さな粒子。これが吸入されることで呼吸器に影響を与える可能性があります。 アレルゲン:一部のカビでは、アレルギー反応を引き起こす物質を産生するものがあります。これにより、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、喘息悪化などを誘発することがあります。 マイコトキシン(真菌性毒素):一部のカビ(特に黒カビなど)は有害な代謝産物であるマイコトキシンを分泌することがあります。長期的な曝露が健康影響をもたらす可能性が指摘されています。 菌糸・胞子残滓:カビが成長すると、その菌糸や死滅した胞子残滓が壁や素材に残ります。これが再び空気中に舞い上がることもあります。 これらによって起こりうる主な症状は以下の通りです: 鼻炎様症状(鼻づまり、鼻汁、くしゃみ) 咳や喉の違和感、呼吸困難、喘息症状の悪化 皮膚炎、発疹、かゆみ 頭痛、倦怠感、集中力低下などの非特異的な症状 感染合併症(稀だが、免疫力低下状態では真菌感染を起こす可能性) 特に、免疫抑制状態にある患者(手術後、がん化学療法中、移植後、ステロイド治療中など)は、軽度の曝露であってもリスクを高めることが懸念されます。医療従事者自身も、長期的な曝露から影響を受ける可能性があります。 医療施設には、一般住居とは違ってさまざまな健常者以外の方がいます。免疫力低下者や呼吸器疾患を持つ患者さん、手術創傷部のある患者さんなどは、カビによる被害を受けやすい層です。 免疫抑制者への影響 医療従事者への慢性曝露リスク 患者・スタッフ以外の間接影響 このように、カビの健康リスクは単に “カビが見える/見えない” 問題とは異なり、施設管理・感染制御・環境衛生の観点から医療現場で真剣に向き合うべき課題です。 医療現場では「院内感染(医療関連感染、HAI: Hospital-Acquired Infection)」対策が最高潮に求められます。通常、ウイルス・細菌・真菌(カビ含む)はその対象となりますが、カビ(真菌性微生物)が果たす役割はやや特殊です。本章では、カビが院内感染原因になりうるか、どのように扱われるかについて整理します。 まず、カビが「院内感染原因になった」という報告例は存在します。特に以下のような状況下でリスクが顕在化します: 免疫抑制患者が多く存在する環境(移植病棟、化学療法室、集中治療室など) 建築工事、改修工事中に発生した浮遊粉じん中に真菌胞子が混入 空調ダクトや換気経路に蓄積した真菌が曝露源となる 漏水・結露によって壁、天井、床下材にカビが繁殖し、それが室内空気に回る 具体例として、改修工事中に浮遊したアスペルギルス属菌が血液透析室や集中治療室に拡散し、免疫抑制患者に発症した事例などがあります。これらは通常、建築粉じん対策や空調遮断、不活化措置が不十分だったことが背景にあります。 ただし、すべてのカビが“感染源”になるわけではありません。多くのカビは日和見菌であり、健康な宿主には無害というケースも多いです。重要なのは曝露濃度、宿主側の耐性、侵入経路(呼吸、創部など)の有無です。 リスク評価の観点では、次のポイントが重要です: 曝露濃度:空気中の胞子濃度、浮遊時間 菌種:アスペルギルス、ペニシリウム、クラドスポリウム、黒色真菌など、発病性やマイコトキシン産生性を持つ菌 侵入経路:呼吸器、創傷部、点滴ルート、人工呼吸器など 宿主感受性:免疫抑制、線維化肺、慢性肺疾患、ステロイド使用者など これらを踏まえると、カビは「感染源」として完全に無視できない存在ですが、一般的な細菌・ウイルス感染とは異なる管理アプローチが必要です。 細菌やウイルスは比較的速やかに増殖・拡散しますが、カビは湿度、温度、栄養源(有機物)が整わないと成長しづらい性質があります。そのため、湿気管理や換気、乾燥環境維持が非常に重要になります。 カビ胞子は微細であるため、空調によって容易に輸送されやすく、建物間を移動することがあります。空調フィルター、ダクト、給排気口がその通路になることがあります。また、胞子再浮遊や壁面からの剥離も問題になります。 カビは素材内部に浸透して菌糸ネットワークを形成していることが多く、表面清掃だけでは不十分な場合があります。しかも薬剤耐性を持つ種類もあり、適切な除去手法を選択しなければ、残存や再発のリスクが高まります。 ウイルスや細菌であれば短期間の滅菌措置で制御できることが多いですが、カビは湿度や水分供給がある限り再発の可能性があります。そのため、一次除去後も継続的な環境管理・モニタリングが必要です。 カビは、必ずしも「感染病原体」として振る舞うとは限りませんが、汚染源やアレルギー源として作用することもあります。このため、感染制御部署と空気質/環境衛生部署が協調して管理策を講じる必要があります。 このように、カビ対策は他の病原体対策と異なる視点や専門性が求められます。次章からは、さらに具体的な発生原因、検査手法、除去法、維持管理策などを順に詳述していきます。 医療施設という特殊環境では、カビが発生しやすい複合的な条件が揃いやすくなります。建築構造・設備設計・運用管理が不備だと、湿気や漏水、換気不良などがカビ発生の温床となります。本章では、まず主要なリスク要因を整理し、次に各因子の実際的な影響を掘り下げます。 屋根・外壁のひび、屋上防水の劣化、給排水管の老朽化、配管継手の破損、給湯設備の不具合、冷暖房設備のドレン排水不良など、さまざまな漏水原因が医療施設にも潜んでいます。漏水が放置されると、壁や天井、床下材、天井裏などに水分が浸透し、カビが繁殖する温床となります。 特に目視ではわかりにくい場所(壁内部、壁裏、床下、天井構造体内など)では、発見が遅れることが多く、広範囲に広がるケースもあります。 医療施設では冷房や除湿機、空調による冷媒管、冷水管、冷房負荷、気温差などで結露が発生しやすくなります。窓枠、外壁面、冷媒配管周囲、空調ダクト室、天井裏などで結露が生じると、その水滴が壁材や断熱材、配管まわりに湿気を与え、カビを誘発します。 室内湿度が高すぎる(一般に60%以上)と、カビ発育には好条件となるため、湿度管理が非常に重要です。 医療施設においては、病室、処置室、手術室、隔離病室などで空調・換気システムが複雑に配置されています。不適切な気流設計、空調バランス不良、換気量不足、排気送風系統の滞留や逆流などがあると、湿った空気が滞留しやすいゾーンが発生します。これにより、湿気が局所に堆積し、カビの発育条件が整いやすくなります。 壁材、天井材、断熱材、ボード材、クロス、石膏ボード材、合板、木材、吸音材、塩化ビニルシート、カーペットなど、さまざまな建材が医療施設内に使われています。特に有機物を含む建材や吸水性のある材質は、湿気を保持しやすいため、カビの温床になるリスクが高まります。 また、建材自体が経年劣化・変形・亀裂などを起こすと、隙間ができて湿気が侵入しやすくなります。さらに、改修工事や部分補修時の不適切な施工(隙間処理不足、断熱不良、気密不良など)は、後日カビ発生を誘発することがあります。 医療施設では中央空調システムが稼働しており、空調ダクト、空気取入口・吹出口、フィルター、空調機本体、ドレン配管などが複雑に配置されています。これらの設計・施工・メンテナンスが不適切だと、次のような問題が生じやすくなります: ダクト内部結露:冷房負荷時にダクト内壁に結露が発生し、その水分がカビ発育を促す フィルターの目詰まり・汚れによる湿気滞留 吹出口・吸込口近傍に湿気が滞留する設計不良 急激な温度変化、断熱不良、気密不良による結露リスク 空調機のドレン流下不良、排水不良、逆流、配管傾斜不足など 給水・給湯・冷暖房配管、給排気ダクト配管、医療ガス配管、電気ケーブル配線盤、点検口などが壁・天井を貫通している箇所は、配管まわりのシール不良・すき間から湿気侵入が起こりやすく、これがカビ発生の起点となることがあります。また、メンテナンスアクセス用の点検口や配線スペース、天井裏などは温湿度環境が安定しにくいため、注意が必要です。 これらの要因が複合的に絡み合い、医療施設ではカビ発生リスクが常に内在していると言えます。したがって、発生リスク因子を一つずつ潰していく包括的な対策設計が不可欠です。 カビ対策において、発見と対処の第一歩は「可視化」です。つまり、どこにどのくらいのカビリスクがあるかを測定・評価することが必要です。本章では、医療施設で実施すべきカビ検査手法、空気質モニタリング、環境計測の組み合わせについて詳しく解説します。 空気中に浮遊するカビ胞子・菌を捕集して測定する方法です。採取器具には以下の形式があります: インパクター法:特定流量で大気を吸引し、プレート(寒天培地など)上に衝突させて捕集する ろ過・濾膜法:エアをフィルターで通して胞子を捕集後、培養または顕微鏡観察 捕集管法:特殊捕集媒体入り管内を通過させて胞子を集め、培養や遺伝子解析を行う 浮遊菌検査によって「空気中のカビ濃度」を把握できます。ただし、捕集時間・流量、採取位置、天候・季節変動、換気状態などに左右されやすいので、複数地点・複数時間で測定するのが望ましいです。 天井、窓枠、床、設備器具など、特定の場所に培地を露出させ、一定時間後に培養して発育する菌を調べます。これは「その場所に付着している、落下・付着している菌」を把握する目的です。ただし、風の影響・人の動線などに左右されやすいため、環境条件を揃えて比較することが重要です。 拭き取り法、スワブ法、洗浄法などにより、壁材・天井材・配管面・空調吹出口・ダクト内壁などの表面に存在するカビや胞子残留を定量的または定性的に検査する方法です。特に目視できない内部潜在部位の汚染状況把握に有効です。 培養できない菌種や迅速性を重視する場合、PCR法、DNAシークエンシング、次世代シーケンス(NGS)などを併用して真菌菌種を特定する手法もあります。これにより、発病性真菌やマイコトキシン産生菌の検出・定量化が可能になります。 これらの手法を組み合わせて実施することで、「空気中の胞子量」、「表面汚染量」、「菌種内訳」など多角的な視点でカビ状況を可視化できます。 カビ発生を予防・抑制するには、単にカビが存在するかを調べるだけでは不十分です。発生しやすい環境条件をモニタリングし、リスクが高まる局所領域を事前に特定することが不可欠です。 室内・壁面・天井裏・ダクト内・配管まわりなどに温湿度センサーを設け、常時モニタリングを行います。特に相対湿度(RH: Relative Humidity)が 60%を超える領域はカビ繁殖リスクが上昇するとされます。多地点に設置し、時間変動を把握することで、湿気滞留場所を特定できます。 風速計やトレーサーガス法、風速プローブ、吹出口・吸入口流量測定器などを用いて、室内の気流分布・換気回数・空気滞留ゾーンを把握します。気流が停滞する箇所は湿気が蓄積しやすく、カビ発生リスクが高くなります。 赤外線サーモグラフィーや温度センサーを壁面・天井面・配管表面などに設置し、結露可能性や温度ムラを把握します。壁表面温度が露点近傍にあると結露発生が懸念されます。 断熱材性能劣化・気密不良・断熱欠損部などがあると、壁内結露や湿気侵入が起こりやすくなります。断熱欠損箇所や気密漏れ箇所を赤外線カメラ、気密試験、サーモグラフなどで診断することで、カビリスクの高い構造的弱点をあぶり出せます。 日・時間帯・季節による変動を捉えるため、一定期間(数ヶ月〜1年程度)センサー設置を行います。取得データを基に、湿度ピーク時間帯、結露発生可能性の高い時間帯、気流停滞箇所、季節変動パターンなどを解析し、リスクゾーンを可視化します。 これらの検査・モニタリングを計画的に実行することで、カビ発生前の予防的な対策立案や、発生後の対処効果検証が可能になります。 カビを可視化・把握したら、次は安全かつ効果的に除去しつつ、根本的な原因を絶つ修繕を行う必要があります。本章では、医療施設に適用可能な除カビ技術、薬剤、物理的処理、修繕設計上の注意点について詳述します。 医療施設では、患者やスタッフへの影響を最小限に抑えつつ、確実な除カビを行う必要があります。以下は代表的な手法です。 소재に影響を与えず、かつ殺真菌効果を持つ薬剤を選定して塗布・散布する方法です。湿潤処理・浸透処理型薬剤や、霧状噴霧法(MIST 工法など)を用いて、素材を傷めずに内部のカビ胞子・菌糸を分解除去する手法もあります。薬剤選定や濃度調整、処理時間の設計が重要です。 蒸気除菌、加熱乾燥、低温プラズマ、オゾン処理、紫外線照射など、物理的エネルギーを用いたカビ除去法があります。ただし、これらは素材耐性・遮蔽・安全性制約があるため、適用には慎重な検討が必要です。 高圧水流やスチーム洗浄を用いて、壁面・天井・床面などからカビ残留物を物理的に剥がし除去する方法です。ただし、医療施設では水分飛散・二次汚染リスクがあるため、飛散防止・養生・排水処理を厳格に行う必要があります。 表面材料を研磨・研削、またはブラシ等で擦って除去する方法です。しかし、素材を傷めるリスクがあり、クロス・壁紙・塗装面などでは不適切な処理となる可能性があります。必ず除去後に処理膜や防カビ処理を併用するべきです。 除去したカビ微粒子を室内に飛散させないために、HEPA フィルター搭載の真空掃除機で吸引除去する方法が併用されます。除去中は局所陰圧化を図り、汚染拡散を防止する体制にすることが重要です。 除カビ施工時には患者空間と隔離し、除染区域を陰圧管理する、空調遮断やバリア養生を行うなど、飛散防止措置を徹底する必要があります。施工前後の空気洗浄、陰圧維持、室間換気制御などが求められます。 これらの方法を適切に組み合わせて使うことで、医療施設においても安全性と効果性を両立したカビ除去が可能です。 根本的なカビ対策は、湿気・水分供給を絶つことにあります。以下は修繕・構造対応の観点から押さえておくべきポイントです。 まず、漏水の原因を現地調査・非破壊検査(赤外線サーモグラフィー、水分センサー、内視鏡カメラなど)により特定します。その上で、屋根防水仕様、外壁防水・シール処理、配管更生、継手交換、ドレン排水再設計、傾斜不足の修正などを施工します。 壁体・天井・床の断熱材・気密層・透湿層の整備を行い、壁内結露・湿気侵入を抑制します。施工段階での施工精度、隙間封じ、シーリング処理、透湿防水シート設定などを適切に行います。 空調機器や冷媒配管、ドレン配管は適切な勾配設計、振動防止、詰まり防止措置、清掃アクセス確保を行うべきです。また、ドレン水の処理先を適切に設計し、滞留しないように配慮すべきです。 湿気滞留や結露リスクが高い吹出口・吸入口周辺の構造を見直し、吹出口近傍に水蒸気が停滞しないように空気流通設計を改善します。場合によっては吹出ガラリ設計の変更、吹出口の位置変更、吹出口カバー設計等を行います。 点検口、メンテナンス通路、清掃アクセス性の確保は不可欠です。天井裏、ダクト室、配管スペースなどに適切なアクセス性を設計・確保しておくことで、将来的な内部清掃や点検がしやすくなります。 修繕後、素材表面や壁体に対して防カビ処理や撥水・防湿処理を施すことが有効です。これにより、水蒸気・微量水分の浸透を抑え、カビ再発を防ぐ補助的なバリアを形成します。ただし、素材適合性、通気性、耐久性、人体安全性を慎重に評価することが重要です。 このような修繕設計と施工管理をきちんと行って初めて、除カビ後の「再発しにくい環境」が実現できます。 カビ対策は一度除去すれば終わりというものではありません。特に医療施設では、再発を抑えるための継続的運用と環境維持管理が不可欠です。本章では維持管理の設計と運用フロー、教育体制、点検体制などについて詳述します。 温湿度、気流、浮遊カビ濃度、表面サンプル、ドレン排水状態など、複数指標の定期点検(例えば月次、四半期、半期、年次)を設けます。季節変動を考慮して繁殖リスクの高い時期(梅雨・高湿期)には頻度を増やすなど、時期適応的な計画が有用です。 空調フィルター交換、ダクト内清掃、ドレン配管の清掃・通水、空調機本体点検、風量バランス調整、シール部チェック点検などを定期的に実施します。特にダクト内結露や水滴の付着部位は重点箇所とすべきです。 壁面・天井・クロス・塗装面・シーリング材など表面仕上げ材の劣化、剥離、ひび割れ、剥がれ、膨れなどを点検し、早期補修します。補修時には必ず隙間や気密処理を徹底します。 ドレン配管の詰まり、逆流、流下不良、結露水溜まりなどを定期的に確認し、改善措置を講じます。 各点検結果を記録し、温湿度変化傾向、カビ濃度変動、修繕履歴と対策効果などを長期的に分析することで、再発傾向を早期察知できるようにします。 医療従事者、施設管理者、清掃スタッフ、保守スタッフなど対象者を対象に、カビリスク・衛生意識・早期発見ポイント・対処手順などの教育研修を定期的に実施します。具体的には湿度管理、異臭・変色チェック、壁面・クロスチェック、漏水報告体制などの教育が有効です。 カビ管理に関わるルール・手順を文書化し、業務マニュアル化します。例えば、月次点検チェックリスト、異常発見時の報告フロー、修繕依頼手順、工事遮断措置ルール、施工時養生手順、施工後効果確認手順などを整備します。 施設運営部、感染管理部、建築保守部、空調設備部など関連部署と定期的な情報共有・連携体制を構築します。点検結果・異常記録、対策実施状況、改善案などを定例報告する仕組みを設けると効果的です。 湿気異常・カビ発見・漏水などをインシデントとして扱える報告制度を整備し、速やかな対応を促します。報告内容から傾向を分析し、施設改善活動に反映させます。 このように、定期点検と教育・ルール整備を組み合わせた運用体制を確立することで、カビの再発リスクを大幅に低減できます。 カビ対策を効果的かつ安全に実施するには、信頼できる専門業者を選定し、導入事例を参考にしながら進めることが重要です。本章では選定のポイントと、医療施設での実例(仮定含む)をもとに学ぶべき点を整理します。 業者が用いる除カビ技術(薬剤処理法、MIST 工法など)、除去能力、素材適合性、施工方法、維持管理手法を確認します。人体安全性試験データ、環境安全性データの開示があるかを重視すべきです。 除カビ後の再発保証やメンテナンス契約、モニタリングサポート体制があるかを確認します。長期間のフォローがある業者は安心感があります。 医療施設、学校、公共施設、歴史建造物などでの実績があるか。成功事例・改善前後比較データの提示を求めましょう。 施工時の養生、隔離、陰圧管理、粉じん飛散防止、清掃手順、施工後の検査プロトコルなど、現場管理体制が整っているかを確認します。 初期費用・追加費用(補修、清掃、モニタリング等)の明細を透明に示す業者を選びましょう。また、コスト対効果を見極める視点が重要です。 業者が保険加入しているか、工事損害補償体制が整っているか、環境衛生関連の認証・登録を持っているかなどを確認します。 現場調査力、リスク説明能力、顧客との対話対応、教育指導力、アフターフォロー体制なども選定時の判断基準になります。 ここでは仮定を交えながら、医療施設での導入事例パターンを示し、それから得られる教訓を整理します。 背景:ICU 天井裏、ダクト近傍の漏水によるカビ繁殖が疑われ、患者の酸素回路系統に異臭・浮遊粉じん異常が指摘された。 赤外線サーモグラフィーによる壁体温度ムラ解析・水分センサー探査 浮遊菌検査、表面サンプル検査による汚染マッピング MIST 工法を用いた薬剤除カビ処理+HEPA 真空吸引除去施工 ダクト内結露対策、断熱補強、ドレン配管再設計・勾配再構成 定期モニタリング、スタッフ教育実施 成果: 浮遊カビ濃度が施工前比で 50%以下に改善 患者回路異臭報告件数の減少 点検記録による湿度・温度変動改善傾向の確認 スタッフの衛生意識向上 背景:外来廊下壁クロス表面が黒ずみ現象を呈し、点検口を開けたところ下地にカビ汚染が確認された。 表面剥離・クロス撤去 下地全面クリーニング(薬剤処理+拭き取り) 防カビプライマー塗布+防カビ仕様クロス貼り替え 通気背圧確保素材への改修、通気層設置 定期湿度監視と異常モニタリング 成果: 表面再汚染頻度が著しく低下 廊下空調運転効率の安定化 維持清掃作業者からのクロス劣化報告が減少 これら事例から得られる教訓としては、除去だけでなく構造的改善+継続モニタリング設計を一体で行うこと、教育・ルール整備を併用すること、施工後効果の検証とフィードバックを確実に行うことが成功の鍵となります。 医療施設におけるカビ対策は、ただ目に見えるカビを取り除くだけでは不十分です。環境リスクの把握、構造的改善、除染技術、安全性担保、維持管理態勢、教育制度、専門業者選定といった複数の要素を統合した体系的アプローチが必要です。 まず、発生原因(漏水、湿気、換気不良、建材劣化など)を的確に把握し、それを根本から解消する修繕設計を行うこと。次に、可視化のための検査・モニタリングを実施し、リスクゾーンを明らかにします。その上で、安全性を重視した除カビ施工を実施し、再発阻止のための防カビ処理・構造対策を講じます。 さらに、施工後は定期点検、環境モニタリング、教育・ルール整備、報告体制構築といった維持管理体制を整え、長期的に施設をクリーン化する運用を維持することが不可欠です。最後に、信頼できる専門業者を選び、成功事例を参考に導入設計を行うことで、効果的かつ安全なカビ対策を実現できます。 これらを総合的に実践することで、医療施設におけるカビリスクを大幅に抑制し、患者・スタッフ双方の安心・安全な空間を構築することが可能となります。この後、それぞれの見出しに対してより詳細に掘り下げて執筆していきましょう。 医療施設のカビ問題は、患者様の健康を守る上で非常に重要な課題です。見えない場所で静かに広がるカビは、院内感染リスクや空気質の悪化、そして施設運営の信頼低下にもつながりかねません。そこでご紹介したいのが、カビバスターズ大阪およびカビ取リフォーム東京・名古屋です。これらは、弊社株式会社タイコウ建装が展開する、カビ除去とリフォームを一括で請け負える専門サービスブランドです。 当社独自の**MIST工法®**は、素材を一切傷つけずにカビを根こそぎ分解・死滅させる革新的なカビ除去技術です。カビの種類や繁殖状態に応じて薬剤を最適に調整することで、高い効果と安全性を実現しています。こすったり削ったりする必要がないため、建材や設備を傷める心配がなく、病院やクリニックのようなデリケートな施設でも安心してご利用いただけます。 また、カビ除去後の再発防止対策として、防カビ剤による仕上げ処理を行い、空気中の浮遊カビも徹底的に除菌・抗菌。除菌後の持続性が長く、清潔な院内環境を保つことが可能です。人体に安全な成分で構成された専用剤は、小さなお子様や高齢者が利用される施設でも安全に施工できます。 さらに弊社は、ただのカビ除去業者ではありません。株式会社タイコウ建装は、リフォームとカビ除去を同時に対応できる全国でも数少ない専門企業です。カビ被害により劣化・損傷した建材や設備を、そのままにするのではなく、同時に補修・改修工事も一括で行えるため、施工の効率性・コスト削減・品質向上を同時に実現できます。 たとえば、カビが発生した壁の内部まで洗浄除去した後に、新しい防カビ仕様のクロスや内装材に張り替えることが可能です。漏水や結露などによる根本原因を建築的に解決する修繕工事や、断熱・気密改善、換気システムの見直しなど、建物全体の性能向上リフォームまで対応しております。 タイコウ建装のリフォーム事業では、以下のようなサービスを提供しています: 医療施設・高齢者施設の内装リフォーム(機能性素材、バリアフリー対応など) 漏水・結露対策の建築改修工事 空調・換気システムの改善設計・施工 外壁・屋上防水改修工事 建築設備の耐久性向上リフォーム(断熱、気密、耐震) 防カビ仕様の壁材・床材・天井材への交換リフォーム カビ除去とリフォームを同時に行うことで、単なる応急処置ではなく、再発しにくい本質的な改善が可能となります。複数の業者に依頼して調整する手間もなく、ワンストップ対応で時間も費用も大きく効率化できます。 医療施設の管理者様、衛生管理責任者様、ぜひこの機会に、カビ対策と施設環境改善を一体化したご提案をご検討ください。「カビを除去する」だけでなく、「建物を根本から健全にする」ことが、私たち株式会社タイコウ建装の使命です。1. 院内に潜むカビの健康リスクとは?
1‑1. カビが引き起こす健康被害と症状の種類
1‑2. 医療従事者や免疫力の弱い患者への影響
免疫力が低下している人は、通常排除できるはずの微量のカビ胞子や真菌成分でも体内に侵入し、感染を引き起こす可能性があります。特に肺真菌症、アスペルギルス症などがリスクとして挙げられます。これらは重篤化することもあり、医療的管理が必要となります。
病院のスタッフは日常的に施設内に滞在し、カビ胞子に長期間さらされる可能性があります。慢性的な曝露はアレルギー性鼻炎や気管支過敏症を誘発・悪化させるリスクがあると考えられます。また、過敏性肺炎の誘因となるカビ抗原に反応するケースも報告例があります。
カビが原因で空気質が悪化すると、他の感染症リスクにも影響を与える可能性があります。例えば室内の湿度や有機物が多くなると、細菌やウイルスの繁殖しやすい環境へ傾くため、複合的な衛生リスクが高まります。2. カビは院内感染の原因になるのか?
2‑1. カビによる院内感染事例とそのリスク評価
2‑2. 他の病原菌と比較したカビの特徴と注意点
増殖速度・環境依存性
室内空気拡散の特徴
除去の難しさ
長期管理が必須
「感染源」と「アレルギー源/汚染源」としての複合性
3. 医療施設でカビが発生する主な原因
3‑1. 漏水・湿気・換気不足による発生リスク
漏水・水の侵入
結露・湿気過多
換気不足・気流停滞
3‑2. 建材や空調システムが与える影響
建材の選定・劣化
空調システム・ダクト設計
配管・設備まわり構造
4. 医療施設におけるカビ検査と空気質チェック
4‑1. 浮遊カビ・落下菌の測定方法と意味
浮遊菌検査(空気採取法)
落下菌検査(定置培地法)
表面サンプリング法
分子生物学的手法
4‑2. 温湿度・気流などの環境測定の重要性
温湿度計測
気流・換気量測定
壁体温度測定(表面温度)
建物包絡部・断熱劣化診断
長期モニタリングとデータ解析
5. 医療施設向けの安全なカビ除去と修繕方法
5‑1. 人体に安全な除カビ技術とその効果
専用除カビ薬剤処理(無機・有機系中性・弱酸性)
ドライイシステム・乾燥除菌法
高圧洗浄・スプレー洗浄
研磨・擦拭除去
真空吸引・HEPAフィルター集塵
施工時の隔離・陰圧管理
5‑2. 漏水時の修繕と再発を防ぐ建物対策
漏水原因の徹底解析と対処
気密・断熱・透湿設計の見直し
ドレン配管・傾斜・排水経路改善
吹出口・吸入口設計の見直し
維持アクセス確保・清掃性の向上
防カビコーティング/撥水処理
6. カビの再発を防ぐ院内環境の維持管理法
6‑1. 定期的な点検とメンテナンスのポイント
定期モニタリングスケジュールの設定
設備・空調系統の定期清掃・保守
建材・仕上げ面の点検
ドレン・排水系点検
点検記録と傾向分析
6‑2. 職員教育とルール整備による予防体制
意識向上教育・研修
ルール・プロトコル整備
定期報告・担当部署連携
インシデント報告制度との統合
7. 専門業者の選び方と導入事例から学ぶ対策
7‑1. カビ対策業者を選ぶ際のチェックポイント
技術・工法の妥当性
長期保証・再発保証制度
信頼実績・導入実績
品質管理・施工管理体制
コストの妥当性と見積明細
保険・責任補償・認証
コミュニケーション・提案力
7‑2. 実際の導入事例と改善後の効果
事例 A:集中治療室(ICU)でのカビ発生対策
対策:
事例 B:外来診療棟での壁面クロス下地カビ対策
対策:
8. まとめ:医療施設で実践すべきカビ対策とは
カビ取り・カビ対策はカビバスターズ大阪、カビ取リフォーム東京・名古屋にお任せください